『Tom at the farm』 ‐ トム・アット・ザ・ファーム
今さらながらXavier Dolan(グザヴィエ・ドラン)の作品を一気に観ている年末。いや、大掃除とか色々やるべきことがあるんですが、
風邪をひいて寝込んでしまった上に、家人もしばらく留守にしてるという好環境だったもので、ついドラン作品マラソンを思いついてしまいw
ほら、グーグルキャストさえあればソファで寝たまま、TVでHuluだのNetflixだの観れるじゃないですか。



……という、どうでもいい言い訳は置いといて、今日は「Tom at the farm」のReview記事を書きたいと思います。



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フランス語劇ですが、カナダのケベック州の田舎町を舞台にしたカナダ映画です。
カナダは英語とフランス語が公用語ですが、ケベック州はカナダで唯一フランス語のみを公用語としている地域。
カナダの中のフランス小国とでも言いますか、フランス文化圏と言いますか。
監督・主演のグザヴィエ・ドランを始め、キャストもケベックの俳優さんたちだそう。



グザヴィエ・ドランについてはいつかじっくり記事にするとして、とりあえず知らない方のために簡単な説明を。
「監督デビュー作で若干19歳にしてカンヌ映画祭3部門受賞(現在は27歳)」という快挙を成し遂げた人物で、
以来カンヌの若き常連として、新作を発表するごとに世界が熱狂する、といった、すごい才能の持ち主。
日本公開を控えた次作「たかが世界の終わり」では、2016年のカンヌ映画祭でグランプリを受賞。
ゆえに「若き天才」「神童」「美しき天才」「映画界の若き救世主」などといった華々しい肩書きが付くことが多いです。
そして「美しきゲイである」ということ!←ここ、ワタクシ的にすごく重要!w 







ストーリーあらすじ

モントリオールの広告代理店で働くトム(グザヴィエ・ドラン)は、交通事故で死んだ恋人のギョームの葬儀に出席するために、
ギョームの実家である農場に向かう。
そこには、ギョームの母親アガット(リズ・ロワ)と、ギョームの兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)が二人で暮らしていた。

トムは到着してすぐ、ギョームが生前、母親にはゲイの恋人である自分の存在を隠していたばかりか、
サラ(エヴリーヌ・ブロシュ)というガールフレンドがいると嘘をついていたことを知りショックを受ける。
さらにトムはフランシスから、ギョームの単なる友人であると母親には嘘をつきつづけることを強要される。

恋人を救えなかった罪悪感から、次第にトムは自らを農場に幽閉するかのように、フランシスの暴力と不寛容に服していく……

公式サイトよりお借りしました)



前3作共に自ら脚本を書いて監督していたというドランが、初めて人の書いた原作を脚色して映画化した作品であるらしい。
原作はカナダの劇作家であるミシェル・マルク・ブシャールの書いた同名の戯曲で、ドランは舞台を観て映画化を思いついたそう。
その後ブシャール氏を訪ねて映画化の希望を伝え、共同で脚色したそうです。
監督4作目にしてサスペンス初挑戦という意欲作らしい。
次の予定が詰まってて、わずか17日で撮影したというから驚き!






以下、感想。

ネタバレありです。スイマセン。じゃないと感想なんて書けませんw  肝心のネタは避けときますけど。


始まってすぐからいきなり不安な感じというか、居心地の悪さみたいなものがつきまとうんですよ。
「Tom at the farm」なんて牧歌的なイメージのタイトルとは裏腹に、何だか薄気味悪い場所。
兄のフランシスは粗野で暴力的、母親のアガットも一見人当たりの良い人なんだけど……っていう。
決して密室劇ではないのに、閉塞的な田舎町の農場から逃げ出せないでいる状況は、まさに息詰まる密室劇のようでした。





オシャレすぎて浮いてるようにも見えるトム。いかにも都会から来たよそ者、という感じをうまく衣装で現してますよね。

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弔辞を言えなかったトムを責め、「母を悲しませた償いをしろ。ケリが付くまで農場から帰さない」と力でもって脅すフランシス。

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葬式の帰り、トムは荷物も捨てて逃げようとするんだけど、罪悪感からなのか、結局戻ってきてしまいます。
そこからはもうフランシスの暴力と優しい一面の繰り返しに翻弄されて、「囚われの身」のようになってしまう。
DV男から逃れられない女の人みたいな感じ? あるいはストックホルム症候群的なもの?
「なぜに戻ってきた?」とか「何で今ここで逃げないんだ!おいトム、君はアホなのか?」とか何度か思ったりもしたんですがw、
それでは10分で映画が終わってしまうのでw

まあ、「逃げ出せる状況になっても何故か逃げないトム」というその心理こそが、この映画の大事な部分だったりもするのですが。




それでもやっぱり逃げようとしたトムを捕まえてボコボコにしたくせに、病院に連れて来たり、傷の手当てを手伝ったり。褒めるときは褒めるし。
まさに飴と鞭と言いますか、DV夫と逃れられない妻と言いますか。

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このフランシスと言う男。粗野で暴力的な男に見えるんですが、物語が進むにつれ、母親が彼をこんなふうにしたのかな、と思えてきて。
亡くした息子の面影をトムに重ねてしまう、というのはわかるんだけど、この母親が口にするのはギョームを褒める言葉ばかりで、
明らかにギョームのほうを可愛がっていたんだろうな、と判るんですよね。
フランシスは自分も同じくらい母に愛されたかっただろうし、そのはけ口としてきっとギョームにも暴力を振るっていたような気がします。
その反面、弟のことを愛してもいたのでしょう。





それと、メガネ男子萌えの皆さんの心もきっと満たしてくれることでしょうw

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もっとメガネシーンたくさん出してほしかったな。






で!
ワタクシ的見所その1のタンゴシーン。

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なぜ唐突にタンゴを?と思う間もなく、ドランの乙メンな部分にきゅんきゅんきてしまったというw
同時に奇妙なシーンでもありました。タンゴという官能的なダンスを踊っているのに、フランシスがデカイ声で話すのは母の悪口。
それでいながら、画面から異様に漂うドランの色気。



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そこらへんの女子どもなんぞより、よっぽど色っぽくて可愛いですw
ワタクシが男なら、こんな可愛い顔で見上げられたら、ノンケでもキスしたくなると思うよ。
てかねえ、唇が赤いのがまたエロいのよw
ボコボコにされたシーンでも寒かったからなのか、真っ赤な口紅ひいたみたいに赤くて。
そんなシーンなのになんでか官能的と思ってしまうのは、やはりこの可愛い形した赤い唇のせいだと思うのはワタクシだけ?





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ダンスの最後のこの表情なんかもう、エロチシズム漂いすぎだろうw キスをねだる乙メンにしか見えないぞw
わざとだと思うけど、ダサい衣装なのもいい! そういう減点対象でもってしても、ドランの色気と可愛さのほうが勝ってしまう、というw







ワタクシ的見所その2。
フランシスと一緒に出かけて、ビールを飲んで酔っ払うトムのシーン。

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首を絞めるという暴力シーンのはずなのに、ワタクシには鳥肌たつくらい官能的だったです。
「彼と同じ匂いがする。声も同じだ」って言うトムの表情がもう、エロくて切なくて悲しくて。
匂いの記憶って脳の記憶と直結してるじゃないですか。脳の記憶=心の記憶。匂いってそれらを一瞬で思い出させてしまう破壊力がある。
声もそう。つまり五感のどこかからインプットされた記憶って、当時の思い出や感情まで引きずり出して蘇らせてしまう。
似たような経験のある人なら、このトムのセリフと表情にグッとくるはず。
彼はいつしかフランシスにギョームの面影を見てしまっていたんでしょうか。


あとチョーキングXXXといって、首を絞めながら行為(自慰含む)をするというものの愛好家がいると聞いたことありません?
「キリング・ミー・ソフトリー」という映画でもそんなシーンありましたが。
(ワタクシの愛するINXSのマイケル・ハッチェンスもそれで亡くなったという噂もあり。真相はまだ謎のままですが)
ちょっとだけソッチも想像しちゃって、ギョームとそういうことしてたのかな、とか。
深読みしすぎだなとは思いましたが、観客に自由に想像してもらう「余白」的なものをこの映画は与えてるとも思うんです。
そんなシーンがたくさん出てくるので。



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これですよ。最後のこの表情。何とも官能的で悲しくて、ほんとに切なかった。
もうギョームは帰ってこない。同じ匂いを纏う、同じ声の男は目の前にいるのに。







そして農場から逃げられないまま、トムに呼ばれたサラがロンシャン家にやってくることで一気に物語は終盤へと突入していくことに。
トムは何だか病んでしまってて、かなりヤバイ雰囲気になってるし。


そのサラは唯一まともな人間として描かれてて、彼女は言わば、都会から「現実」を連れてきてくれたリアルな存在。色んな意味で。






そして最後近く、バーのシーンがありましたが、あのバーテンのおじさんは、ドランの実の父親。
言われてみればちょっと似てるw
監督デビュー作の「I killed my mother」にもこのパパちょろっと出てきます。

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このシーン、彼のかわゆいアップが続くので、とても大事なシーンなのにセリフが頭に入ってこなくて困ったw
なので何度も見返してしまいました。
何度見返してもその度に「かあいいなあ♥」ってぽーっとなってしまうので、また見返さなくてはならないというループw




あ、それと、このバーのシーンでバックに流れてた古い曲。どなたか教えてくださらんもんかw
知ってた曲だと思うんだけど、「うわー何だっけコレ!」って思い出せなくて悶々としてしまって。
それもあってセリフが頭に入ってこなかったってのもあるんですよ。
80'sだとは思うんだけど。


……っとここで追記。
わずかな記憶を頼りにつべでサーフィンしてきましたら、見つかりました!
Corey Hartの「Sunglasses At Night」という曲でした。あースッキリしたぁー!w
唐突に「コリー・ハートじゃなかったっけ」と脳みそが思い出してくれたみたいです。 
(いや、エンドロール観れば出てくるじゃん……って後から気付いたっていうw)








そしてこの不条理な物語もここでラストへと突き進むわけなんですが。

最後の朝、トムが起き出すシーン。
今まで離れて置いてあったはずのベッドがぴたりとくっつけてあって、しかもトムが寝てたのはいつもフランシスが寝てた側。
予感はあったけど、やはり関係を持ったのかな、と思わせるシーンです。
この映画はエロティックなシーンなどひとつもありません。むしろ暴力や不安、不穏な空気といったシーンばかり。
それなのにとてつもなく官能が漂ってる。
こんなふうに、ベッドがくっついてるっていうシーンひとつで観客に想像させる手法というのは嫌いじゃないです。
2人は関係したかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
「え?どういうこと?どっちなの?」ってはっきりとした答えを欲しい人もいるでしょうけど。


最後も、希望が見える終わりであってほしいな、と思ってましたが、見る人によっては物足りない終わりだったかもしれません。
心配だからその後のトムをきちんと見届けたい!って人もいるだろうし、「え?オチとかないの?」という人もいるかもしれない。
でもさっきも言いましたが、観客が想像する「余白」を与えてる映画だと思うのです。
最後、あのままトムが戻るべき場所へと真っ直ぐ車を走らせたと信じたいけど、「戻るべき場所」なのは果たしてどちらなのか。
映画をこれからご覧になろうとする方は是非、エンドロールが始まっても止めないで、最後まで観てください。
そこに明確な答えは用意されていないかもしれません。
でも観た人それぞれの「トムのこれから」がきっとそこにはあると思うんです。
ワタクシのような妄想好きにしてみたらもう、そっから妄想が始まってしまうという、ある意味、非常にリスキーな終わりでもあったりしますがw
(また本宅更新が遅れちゃうとか、遅れちゃうとか、遅れちゃうとか、とか、とか……)





冒頭で、トムが紙ナプキンに書きなぐる弔辞の最後の言葉があって。
トムもフランシスも母親のアガットも、それぞれに「ギョームの代わり」を探して、ぽっかりと穴が空いてしまった部分を埋めようと
無意識に依存してしまったのかな、と。 共依存、ってやつですかね。
この映画はサスペンスというジャンルの表現を借りてはいるけども、サスペンスというより、もっと深くて切ない「愛の物語」のように感じました。
サスペンス映画を観て「余韻に浸る」なんてこと、そうそうないと思うんだけど、この映画は何とも言えない余韻をくれるんですよ。
色々なことを考えずにはいられませんでしたね。
ドラン映画の特徴でもあるカラフルさやスローモーションの多用など一切排除していて、ドランぽくないと言えばそうだけど、
こんな映画も撮れるんだ、という力を見せつけてくれたような気がします。
そして演技者としての彼もほんと素晴らしかった!




あ、そうだ。
ただね、色んな人のブログで皆さん必ずと言っていいほど書いてらっしゃるんですけど、
最後フランシスが着てた、背中に「USA」と書かれたあのダサいジャケット。あのシークエンスだけは全く解らなかったです。
エンドロールで流れる曲の歌詞にその説明をさせているのだとしても、やっぱりよく解らない。
あれは原作者のブシャール氏のメッセージなのか、それともドラン自身のメッセージなのかも解りません。
どなたかが「なるほどなあ」と思えることを書いてらしたけど、それでも今ひとつ納得には至りませんでした。
これはちょっと時間をかけてドランのインタビューなりで答えを探したいと思います。






あと、日本版のポスターというか、アートワークも不満!↓

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こちらは英語版のアートワーク。↓

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この英語版と一番上に貼ったフランス語版と日本語版で見比べてもらえば解るかと思いますが、
「Tom à la ferme」「Tom at the farm」というタイトル文字が青いインクで手書きのように書かれてるのは、
冒頭にトムが青インクのペンで紙ナプキンに弔辞を書きなぐるシーン、あれを踏襲しているのは明らか。
フランス語版と英語版をよーく見ると、白い紙ナプキンがそのタイトルの背景になってますよね。判ります?
その意図をなぜ無視してこんなアートワークにしてしまったのか。
日本版のほうの色彩の統一感というか、とうもろこし畑やトムの金髪ともリンクしてるし、シンプルで素敵なんだけど、やっぱり納得いかない。
ワタクシがドランなら怒りますね。細かいことだけど、すごく大事なことじゃないのかなあ。
何だか冒頭のあのシーンを全否定された、くらいの気分ですわw
あのシーンでトムが青インクのペンで最後に大事な事を書いてるのに。
その意図よりも、日本版のアートディレクターは、自分の美的センスの方を優先させたわけですね。
ヤバイ、何か書いてて腹立ってきたw





ちょっとここは可愛いドランでも貼って心を落ち着かせよう。


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あ。

アカン。
キュンとしちゃってむしろ逆効果w







最後に監督・主演のグザヴィエ・ドラン


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こんな巻き毛で可愛い男の子を、この「巻き毛ハンター」であるワタクシがほっとくわけがありません!w
そして何といっても恐るべき才能の持ち主。
演技だけでも相当の実力者だとお見受けしますのに、監督も脚本も衣装も編集もこなしてるって!

あとで他の映画について書く時にも言いますが、彼の映画には巻き毛の可愛い男の子が他にもちょろちょろ出てくるんですよ!
もう大収穫すぎて、身が持つのかしらワタクシwww


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監督第1作目の「I killed my mother」の冒頭でいきなり爪ががたぴしっと汚くて「あー、この子は爪を噛む子だわ」ってすぐにピンときて、
その瞬間恋に落ちましたw
案の定、どの映画でも爪噛んでばっかり。
何だろう、めんどくさい子、爪噛む子が好きなのって一体何なんだろう。
……と冷静に考えたら、ウチの家人もそうだったというwww
本当は指の綺麗な男の人が好き!って思ってるのに、実際好きになる人はみんな爪噛む人や手先使う職業の人ばかりで、みんな爪が痛んでた。
ホント何なんだろうw


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はー可愛い♥ もうほんとパクッと頭から齧りたいくらい可愛い♥ 
「えっ!ゲイだったなんて!」って感じではなく、「あー、やっぱそうだよねー」って感じw
グザヴィエだからザヴィ子? ドラ子? それじゃハリポタシリーズのドラコみたいじゃw
じゃあザヴィ江とかどうだろうwww ちょっと昭和のオバさん臭さ漂ってていいんじゃないw
ダメ? ダメかなあ?






……っとついつい長々と(つかダラダラと)綴ってしまった。
またそのうちに違うドラン作品についてやザヴィ子ちゃん自身についても書きたいと思います。


ってか、
ザヴィ子で決定なの?w






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Tag:グザヴィエ・ドラン トム・アット・ザ・ファーム

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