最近観た映画をいつものようにまとめてレビューしようとしたら、長くなりすぎたので、『エンジェル』単体で記事にすることにしました。
鑑賞はNetflixにて。
・エンジェル (原題 『Angel』) 2007年 イギリス・ベルギー・フランス合作

Trailer ↓
《あらすじ》
20世紀初頭のイギリス。
エンジェル・デヴェレルは、幼いころから上流階級の生活に強烈な憧れを抱き、近くにある屋敷に住むことを夢見ていた。
その憧れを小説として書き綴ることで、16歳にして作家デビューを果たし、思い描いた人生を手に入れるが…。
《以下、ネタバレあったらすいません。なるべく避けますが》
「フランソワ・オゾンが昭和の少女漫画を映画化するとこうなります」とでも言いたくなるような、メロドラマふうの作りにまずはビックリ。
往年のクラシック映画を再現したようなオープニングからして、「オゾン、遊んでるなー」と思わせてニヤニヤが止まりませんでしたw
オゾン作品だけど英語劇で、原作もの。原作は英国のエリザベス・テイラーという女流作家の埋もれていた小説らしい。
(もちろんあの大女優とは同姓同名の全くの別人さんです)
シャーロット・ランプリングが出てるオゾン映画で唯一見逃していた作品だったのと、ファスベンダー兄さんも出てる!?と言うので、
これは見なくては!となりまして。
先日紹介した「そして誰もいなくなった」にも出演していたサム・ニールも出てます。
これがまあー「夢に向かって突き進むヒロインを温かい目線で描いた爽快サクセス・ストーリー」だと思ったら大間違い。
傲慢で強欲で虚栄心の塊のような主人公エンジェルの「痛さ」を、容赦なく突いてくるのです。
ここまで感情移入出来ないというか、好きになれないヒロインもそうそういないw やることなすことが滑稽にしか見えないんですよ。
だけど、好きにはなれないけど、決して嫌いにもなれない。
昭和の少女漫画に出てくる、ヒロインを陥れようと色々邪魔する悪役キャラなのに憎めない、ついつい面白く読んでしまう、的な、
あの感覚と言うか、そういう気持ちになってしまうんです。
いや、エンジェルはヒロインなので、悪役キャラではないんだけど。
決して意地悪な目線でヒロインを描いてはいないけど、どこか突き放してるようにも見えて、それが面白かったです。
オゾンが「彼女のような生き方をしてはいけないことを、事前予防的に体験することができた」とインタビューで答えているのを読んで納得。
でも、この時代に、若くして自分の夢を叶えるために努力し、見事にその夢を手に入れた女性、という側面から見ると、
エンジェルってかなりかっこいい女性とも言える。
男性の庇護なしには生きることが難しかったであろう時代に、成功して自立してるわけですし。
今で言ったらガガみたいな存在じゃないんでしょうかね。
寝食惜しんで執筆に没頭するエンジェルを見ていると、1行書いては消し、書いては消し、挙句不貞腐れて、
映画やゲームに逃避する自分がもう情けなくてしょうがないw
オマエもあれくらい頑張れ!と言いたくなったのは言うまでもありませんw
いや、いくら頑張ったって、持って生まれたモノがモノを言うのでしょうがないんですけどね。
そんなエンジェルに心酔し、尽くしてくれるのが、ファスベンダー兄さん演じるエスメの姉であるノラという女性。
はっきりとした描写はありませんでしたが、このノラさんと言う人、エンジェルのことを愛してたんじゃないのかな。(同性愛的な意味です)

しかし、ノラ、という役名だけでつい応援したくなっちゃうよねw
でもって、ランプリングはサム・ニールの妻の役で、エンジェルをちょっと意地悪にと言うか、シビアな目で見てる人物。
どんな映画でも、ランプリングがそこにいるだけでピシッとなるような存在感は、やはりかっこよかった。

これでランプリングが出演したオゾン監督作4作品を全て観ることが出来たわけですが、やはり「まぼろし」が一番好きかな。
「スイミング・プール」の彼女もいいですよね。
先日観た「17歳」やこの「エンジェル」での脇役ももちろん素晴らしいのですが、可能であればまたランプリングを主演に何か撮って欲しいなあ。
ファスベンダー兄さんはもう「ダメな男」を絵に描いたような売れない画家、というw …いや、シャレにもならんなw
出会った瞬間ぽーっとなるエンジェルに、ガツンとキツイひと言を浴びせるシーンがちょっとスカッとしたw

あと、生まれつきのお金持ちというか、本当に高貴な人たちというのは、決して華美ではなく、楚々としていて、
余計なものを削ぎ落とした上品な美しさを身にまとっているもの。
最後近く、エンジェルがとある人物と対峙するシーンで、改めてそう思いました。品格はお金で買えないのよね。
その人物に対し、けばけばしく飾り立てた(おそらく時代遅れな)、下品な服装のエンジェルが憐れを誘います。
ワタクシ自身はそのエンジェルの格好、グラムロック時代のスターみたいだな、って思って嫌いじゃなかったけどw
あと、猫好きにはたまらない、高級そうな可愛い猫ちゃんたちがわらわら出てきますので、そこもおすすめポイント?w

エンジェルを演じたロモーラ・ガライちゃん。可愛い♥

色んなタイプのオゾン作品がありますが、「8人の女たち」のような作りこまれた世界観が好きな方はきっと気に入るんじゃないでしょうか。
いや、たぶん……w
鑑賞はNetflixにて。
・エンジェル (原題 『Angel』) 2007年 イギリス・ベルギー・フランス合作

Trailer ↓
《あらすじ》
20世紀初頭のイギリス。
エンジェル・デヴェレルは、幼いころから上流階級の生活に強烈な憧れを抱き、近くにある屋敷に住むことを夢見ていた。
その憧れを小説として書き綴ることで、16歳にして作家デビューを果たし、思い描いた人生を手に入れるが…。
《以下、ネタバレあったらすいません。なるべく避けますが》
「フランソワ・オゾンが昭和の少女漫画を映画化するとこうなります」とでも言いたくなるような、メロドラマふうの作りにまずはビックリ。
往年のクラシック映画を再現したようなオープニングからして、「オゾン、遊んでるなー」と思わせてニヤニヤが止まりませんでしたw
オゾン作品だけど英語劇で、原作もの。原作は英国のエリザベス・テイラーという女流作家の埋もれていた小説らしい。
(もちろんあの大女優とは同姓同名の全くの別人さんです)
シャーロット・ランプリングが出てるオゾン映画で唯一見逃していた作品だったのと、ファスベンダー兄さんも出てる!?と言うので、
これは見なくては!となりまして。
先日紹介した「そして誰もいなくなった」にも出演していたサム・ニールも出てます。
これがまあー「夢に向かって突き進むヒロインを温かい目線で描いた爽快サクセス・ストーリー」だと思ったら大間違い。
傲慢で強欲で虚栄心の塊のような主人公エンジェルの「痛さ」を、容赦なく突いてくるのです。
ここまで感情移入出来ないというか、好きになれないヒロインもそうそういないw やることなすことが滑稽にしか見えないんですよ。
だけど、好きにはなれないけど、決して嫌いにもなれない。
昭和の少女漫画に出てくる、ヒロインを陥れようと色々邪魔する悪役キャラなのに憎めない、ついつい面白く読んでしまう、的な、
あの感覚と言うか、そういう気持ちになってしまうんです。
いや、エンジェルはヒロインなので、悪役キャラではないんだけど。
決して意地悪な目線でヒロインを描いてはいないけど、どこか突き放してるようにも見えて、それが面白かったです。
オゾンが「彼女のような生き方をしてはいけないことを、事前予防的に体験することができた」とインタビューで答えているのを読んで納得。
でも、この時代に、若くして自分の夢を叶えるために努力し、見事にその夢を手に入れた女性、という側面から見ると、
エンジェルってかなりかっこいい女性とも言える。
男性の庇護なしには生きることが難しかったであろう時代に、成功して自立してるわけですし。
今で言ったらガガみたいな存在じゃないんでしょうかね。
寝食惜しんで執筆に没頭するエンジェルを見ていると、1行書いては消し、書いては消し、挙句不貞腐れて、
映画やゲームに逃避する自分がもう情けなくてしょうがないw
オマエもあれくらい頑張れ!と言いたくなったのは言うまでもありませんw
いや、いくら頑張ったって、持って生まれたモノがモノを言うのでしょうがないんですけどね。
そんなエンジェルに心酔し、尽くしてくれるのが、ファスベンダー兄さん演じるエスメの姉であるノラという女性。
はっきりとした描写はありませんでしたが、このノラさんと言う人、エンジェルのことを愛してたんじゃないのかな。(同性愛的な意味です)

しかし、ノラ、という役名だけでつい応援したくなっちゃうよねw
でもって、ランプリングはサム・ニールの妻の役で、エンジェルをちょっと意地悪にと言うか、シビアな目で見てる人物。
どんな映画でも、ランプリングがそこにいるだけでピシッとなるような存在感は、やはりかっこよかった。

これでランプリングが出演したオゾン監督作4作品を全て観ることが出来たわけですが、やはり「まぼろし」が一番好きかな。
「スイミング・プール」の彼女もいいですよね。
先日観た「17歳」やこの「エンジェル」での脇役ももちろん素晴らしいのですが、可能であればまたランプリングを主演に何か撮って欲しいなあ。
ファスベンダー兄さんはもう「ダメな男」を絵に描いたような売れない画家、というw …いや、シャレにもならんなw
出会った瞬間ぽーっとなるエンジェルに、ガツンとキツイひと言を浴びせるシーンがちょっとスカッとしたw

あと、生まれつきのお金持ちというか、本当に高貴な人たちというのは、決して華美ではなく、楚々としていて、
余計なものを削ぎ落とした上品な美しさを身にまとっているもの。
最後近く、エンジェルがとある人物と対峙するシーンで、改めてそう思いました。品格はお金で買えないのよね。
その人物に対し、けばけばしく飾り立てた(おそらく時代遅れな)、下品な服装のエンジェルが憐れを誘います。
ワタクシ自身はそのエンジェルの格好、グラムロック時代のスターみたいだな、って思って嫌いじゃなかったけどw
あと、猫好きにはたまらない、高級そうな可愛い猫ちゃんたちがわらわら出てきますので、そこもおすすめポイント?w

エンジェルを演じたロモーラ・ガライちゃん。可愛い♥

色んなタイプのオゾン作品がありますが、「8人の女たち」のような作りこまれた世界観が好きな方はきっと気に入るんじゃないでしょうか。
いや、たぶん……w
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